【*2015/06】


by kfushiya
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舘野泉氏新刊本

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↑六耀社のHPより転載させていただきました


急激に季節は秋となり、感覚が研ぎ澄まされる時期を迎えました。こちらは日々に忙殺されつつも、ふと立ち止まって自分の来し方や人との出会い、音楽との関わりを考えることもおおく。先日は20年も人生を共にした実家の愛猫が亡くなり、最後を看取ることもできなかったのが心のこりだ。おもえば2人の祖母を亡くしたときも、東京にいたりドイツにいたりで立ち会えなかった。愛猫は、最後の最後まで立ち上がろうともがき、立派だったという。大切な存在の死をきちんと見届けることなく看過してしまう人生なぞ、なにか欠陥をうむのではないか、うすっぺらぺらの情のうすい人間になってしまうような危機感すらおぼえる。

さて、六耀(りくよう)社から出版される舘野泉『生きる力』に、5月に書いた「左手の音楽祭」評が掲載されることになった。「ソリストの思考術シリーズ」の第8巻にあたり、出版社の創立40周年記念の企画出版とも重なる力作。舘野氏は2002年、デビュー40周年記念リサイタルの演奏中に脳卒中で倒れ、以後右半身不髄となった。右手が使えなくなるという、ピアニストにとっては誰もが絶望を禁じ得ない状況のなか、現在は「左手」のみで演奏活動を続ける新生・舘野泉としてカムバックされ、世界でも唯一無二の活動を展開されている。ここに至るまで、計り知れないほど壮絶な自己との闘いがあったことだろう。氏の演奏に巡り会えたことに幸運におもうし、私の評などを著書に収めていただいたことに恐縮と光栄をとおりこした何とも言えぬ空恐ろしげな心地です。

みなさん是非お手にとってご覧ください。
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by kfushiya | 2013-10-25 21:37 | 音楽と日々雑感 | Comments(0)
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↑サミュエルと初対面

画廊で仕事をはじめてから出張やらなにやらで音楽生活からおさらばしていましたが、批評を継続的に書かせていただいていたサミュエル・ブレーザーが来日するのだけは見逃せない、是が非でも生音を聴かなければ、とはおもえど直前まで香港出張、サミュエルのスケジュールもよくわからず、という感じで半ばあきらめていたもののどうにか最終日のディスクユニオン・インストア・ライヴには間に合いました。マネージャーの内田泉さんとも初対面で楽しいひとときをすごした。

さて、インストア・ライヴということで、規模は通常のライヴよりもさらに小さいわけですが、そのぶん至近距離、ディスクからも否応なく押し寄せてくるあの途轍もないグルーヴを体感できた。サミュエルは完全なアコースティック主義、楽器本体以外ではプランジャーを用いる程度だが(時にエレクトリック顔負けのノイズも浮かび上がらせるから不思議だ)、変幻自在な音の伸縮は見事の一言。トロンボーンという楽器からはじき出された音はあたかもひとり歩きをしているようで、滞空時間がとてもながい(少なくともそう感じられる)。空気への音の溶け込みが抜群だ。
「音浴」の感覚が、最初の一音が始まってこのかた最後の一響が消え去るまで持続する、という聴覚体験はそうあるものではない。包容力という言葉で表現しきれぬほどの膨大なストックが彼の音楽には自然に備わっている。古典から現代、オーソドキシーから前衛に至るまでの汲みども尽きぬ音楽の脈流が、たまたまコンテンポラリー・ジャズという切り口で発露されているにすぎない---そんなユーモラスな想像力まで掻き立ててくれる。考えてみれば先進的なジャズが何もエッジィである必要はなく、日頃われわれが、いかに刹那的なインパクトを刻むものばかりに慣らされているかと意表を突かれた。サミュエルの音楽が刻む衝撃はもっと深い。例えば古典を現代に蘇らせる場合でも、これみよがしに「世代的なノリ」に逃れることもなく、時空を超えたおおきなプロットが失われることはない。本物の迫力かくありき。

偉大な音楽空間にどっぷりはまってトリップしているようなアドヴェンチュアラスな感覚は、サミュエルの音楽がもつ強力な独自性であり、競合がいない。ゆえにライヴを展開する上で(とくにツアーなど)編成のむづかしさにもつながるかもしれない。彼の音楽性をとくと味わえるのはソロか、チェンバー・ミュージック的な趣向---縦ノリではなく響きのラインを活かせる編成や構成が最適だろう。

・・・久々に文章を書いたので疲弊した。ちょくちょく執筆のお話もあるが落ち着いたら考えていこうとおもう。サミュエルを筆頭に、Izumi Productionにはピカ一の実力を誇るアーティストが所属していますので、みなさん是非チェックしてください。
http://www.reverbnation.com/label/izumiproductions
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by kfushiya | 2013-10-19 20:30 | 音楽と日々雑感 | Comments(0)