【*2015/06】


by kfushiya
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Samuel Blaser @ディスクユニオン新宿ジャズ館

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↑サミュエルと初対面

画廊で仕事をはじめてから出張やらなにやらで音楽生活からおさらばしていましたが、批評を継続的に書かせていただいていたサミュエル・ブレーザーが来日するのだけは見逃せない、是が非でも生音を聴かなければ、とはおもえど直前まで香港出張、サミュエルのスケジュールもよくわからず、という感じで半ばあきらめていたもののどうにか最終日のディスクユニオン・インストア・ライヴには間に合いました。マネージャーの内田泉さんとも初対面で楽しいひとときをすごした。

さて、インストア・ライヴということで、規模は通常のライヴよりもさらに小さいわけですが、そのぶん至近距離、ディスクからも否応なく押し寄せてくるあの途轍もないグルーヴを体感できた。サミュエルは完全なアコースティック主義、楽器本体以外ではプランジャーを用いる程度だが(時にエレクトリック顔負けのノイズも浮かび上がらせるから不思議だ)、変幻自在な音の伸縮は見事の一言。トロンボーンという楽器からはじき出された音はあたかもひとり歩きをしているようで、滞空時間がとてもながい(少なくともそう感じられる)。空気への音の溶け込みが抜群だ。
「音浴」の感覚が、最初の一音が始まってこのかた最後の一響が消え去るまで持続する、という聴覚体験はそうあるものではない。包容力という言葉で表現しきれぬほどの膨大なストックが彼の音楽には自然に備わっている。古典から現代、オーソドキシーから前衛に至るまでの汲みども尽きぬ音楽の脈流が、たまたまコンテンポラリー・ジャズという切り口で発露されているにすぎない---そんなユーモラスな想像力まで掻き立ててくれる。考えてみれば先進的なジャズが何もエッジィである必要はなく、日頃われわれが、いかに刹那的なインパクトを刻むものばかりに慣らされているかと意表を突かれた。サミュエルの音楽が刻む衝撃はもっと深い。例えば古典を現代に蘇らせる場合でも、これみよがしに「世代的なノリ」に逃れることもなく、時空を超えたおおきなプロットが失われることはない。本物の迫力かくありき。

偉大な音楽空間にどっぷりはまってトリップしているようなアドヴェンチュアラスな感覚は、サミュエルの音楽がもつ強力な独自性であり、競合がいない。ゆえにライヴを展開する上で(とくにツアーなど)編成のむづかしさにもつながるかもしれない。彼の音楽性をとくと味わえるのはソロか、チェンバー・ミュージック的な趣向---縦ノリではなく響きのラインを活かせる編成や構成が最適だろう。

・・・久々に文章を書いたので疲弊した。ちょくちょく執筆のお話もあるが落ち着いたら考えていこうとおもう。サミュエルを筆頭に、Izumi Productionにはピカ一の実力を誇るアーティストが所属していますので、みなさん是非チェックしてください。
http://www.reverbnation.com/label/izumiproductions
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by kfushiya | 2013-10-19 20:30 | 音楽と日々雑感 | Comments(0)